Rohan Hutchinson: At that particular moment XL Edition
オーストラリアを拠点に活動する写真家、ロハン・ハッチンソン(Rohan Hutchinson)の作品集。
ハッチンソンのリサーチを基盤とした実践は、遠隔地におけるサイトスペシフィックな調査を通じて展開され、観る者に「グローバルなつながり」という概念を提示します。こうした冒険的な探査のなかで、ハッチンソン自身の「世界がどのように変化しているのか」という理解が中心に据えられています。
本作は、彼の高い評価を受けた作品「Polar Convergence」に続く続編として位置づけられています。本作の舞台は、ハッチンソンが2002年に訪れたアラスカ州デナリ国立公園。ここで彼は、気候変動による変化を探るため、地形の巨大な質量と気圧・酸素濃度・氷河の動きが複雑に作用し独自の気象を生み出すこの山岳地帯が、国立公園外で起きる人間活動によってどのように影響を受けているのかを調査しました。2024年の秋、ハッチンソンはその関心を実践へと移し、チャーター機でこの過酷な地へと入り込みました。通常は熟練のアルピニストのみが立ち入る場所でのフィールドワークの後、観察をもとに制作された作品群は、変わりゆく環境の影響を力強く可視化しています。
この作品群は、互いに関連しながらも異なる3つの章で構成されています。本書はそのフィールドワークを記録した写真を、日誌のような形式で収録。最初の3点「Entry Points」は国立公園の圧倒的なスケールを示し、次の3点「Interventions」は人間による脆弱な自然環境への破壊的な影響を生々しく記録。そして最後の3点「To be continued」は、変化の途上にある風景を描写し、気候変動の規模を鮮やかに伝えています。
3年の歳月をかけて完成した本作は、風景を最も自然な形で提示し、ひとつの場所の過去・現在・未来を重ね合わせながら、かつて安定していた環境に及ぶ人間の影響を示します。それは、地球規模の変化を象徴する先例としての意味をも帯びています。
本作の限定版サイン入りプリントセットはこちら。
ページ: 20
サイズ: 300 × 405 mm
フォーマット: ソフトカバー
刊行年: 2025
言語: 英語
出版: acb press