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Richard Misrach: Cargo
Aperture
アメリカ人写真家、リチャード・ミズラック(Richard Misrach)の作品集。2025年1月から3月にかけて、ニューヨークの「ペース・ギャラリー(PACE GALLERY)」で本作の展覧会が開催されました。
見えなくなりがちな世界の貿易や商業の流れをミズラックの厳かな黙考を写真で見せています。恐ろしくも疎らであり、そして間違いなく美しいそのイメージは、時を得て今、世界の貿易が与える環境への深刻な影響に対する内省を私たちにもたらします。
2021年、新型コロナウイルス感染症のパンデミックによる余波で、その最盛期には国際貿易のネットワークがほぼ停止したような状態になりました。その最中、ミズラックはカリフォルニア州オークランド港で行き交う貨物船の写真を何千枚も撮影し始めました。まるで碑のようにも見える海景の中で、海、空、そして大気が、広大で豊かな色彩を織り成しながら交わり、そこで貨物船はほんのわずかに、しかし毅然として、時が止まっているような存在感を見せます。
不気味であり希薄にも見え、しかし確かに美しい写真群は、複数の歴史を抽象的になぞっています。それは、近年の海上通商航路の崩壊と緩慢な復旧、気候変動を起因とした災害に見舞われる時代の人間と自然環境による衝突、そして海洋芸術の豊かな系譜です。
ページ: 156
サイズ: 387 × 298 mm
フォーマット: ハードカバー
言語: 英語
刊行年: 2025
出版: Aperture