水谷太郎: 12000
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水谷太郎: 12000

水谷太郎: 12000

(Tentative)
$79.00 USD

写真家、水谷太郎の作品として構想され、スタイリストの石井大、美術の松本千広の協働によってその世界観が立体的に立ち上がった作品集。

ファッションを起点に、時代や社会との関係性、そして「光とは何か」という根源的な問いを表現するプロジェクトとして遂行されました。本書はその記録であると同時に、詩人、小説家の大崎清夏、哲学者の福尾匠によるテキストを収録し、アートディレクターの坂脇慶のもとに再構成された新たな作品体でもあります。

スマートフォンやデジタルメディアに囲まれた現代において、視覚情報の源である「光」の意味を見つめ直し、纏うこと、映すこと、見ることの本質を多層的に問い直しています。

12000年前、人類は農耕を始め、光を制御し始める。人は土を耕し、太陽のめぐりを知り、月明かりの下で夜を迎え、自然のリズムの中に身をゆだねていた。やがて、炎を囲み、言葉を交わし、闇の中に ”自らの光”を見出した。ランプが生まれ、灯りは都市を包み、やがて電灯が夜を消し去った。人工の光が世界を満たすにつれ、私たちは少しずつ、“本来の光”とのつながりを失っていく。

現代社会は、光を消費し、そして忘れていく。ニュースの閃光、スクリーンの輝き、それは ”光”なのか、それとも ”情報”なのか。光は言葉となり、記号となり、本来の静寂を見えなくしていく。発光する生物たちは、なぜ光るのか?蛍は仲間を見つけるために光を放ち、深海魚は闇の奥で、誰にも見られることのない光を宿す。そして、虫たちはなぜ光に集まるのか?彼らは本来、月明かりを頼りに飛ぶ習性を持ち、今は人工の光に惑わされる。この虫たちの行動は、現代社会における私たちの姿と重なる。私たちもまた、光に依存し、光に惑わされているのだ。光は目に見えるものだけではない。私たちの視覚を超えた領域に、無数の光が存在し、世界を形作っている。それらは目には見えなくとも、確かにこの世界を支え、私たちの存在を照らし出している。光は、見えるものと見えないものの間を彷徨い、存在そのものの本質を映し出す。この物語は極北の廃墟、オーロラタワーの影に、光を纏った人間たちは12000年目の胎児として立ち現れる。彼らは、目に見える光と見えない光の両方を自らの一部として取り込み、現代社会の美の在り方を問いかける。光は、存在の詩だ。 それは、言葉では表せない深みを持ち、私たちの心に響く。光は、闇の中に静寂の詩を刻み、私たちにその美しさを思い出させる。光が小さな粒子として生まれ、増殖し、肉体を形作り、そして消えていく瞬間を捉える。それは、時代を超えた光の記憶を紡ぐ物語。12000年目、この光の中に何を見るだろうか。その答えを探すために、この光の旅へと誘う。

水谷太郎
1975年東京都生まれ。東京工芸大学芸術学部写真学科卒業。ファッションフォトグラファーとして数々の雑誌・ブランドキャンペーン・映像制作を手がける一方、アーティストとして作品制作を精力的に行っています。写真集に『Here Comes The Blues』『Chaos / Balance』『Lethe』など。主な展覧会に「NewJournal」(2014, Gallery 916)、「LOOKIN THROUGH THE WINDOW」(2019, GYRE GALLERY)、「淼」(2023, 隙間ギャラリー)、「New Hollow」(2025, T&Y Projects)などがあります。

ページ: 264
サイズ: 210 x 270 mm
フォーマット: ソフトカバー
刊行年: 2025
出版: (Tentative)