Edvard Munch: The Scream
アンディ・ウォーホルから『ザ・シンプソンズ』まで、映画から冷蔵庫用マグネットに至るまで、本書はエドヴァルド・ムンク(Edvard Munch)の「叫び」が美術とポピュラーカルチャー、そしてイメージやモノの世界に及ぼしてきた広範な影響を探ります。
ムンクが19世紀末に「叫び」のモチーフを考案して以来、アンディ・ウォーホル(Andy Warhol)やマリーナ・アブラモヴィッチ(Marina Abramović)をはじめとする数え切れないほどのアーティストが、このイメージを自身の作品の中で変異させてきました。さらに、口を大きく開けた人物像は、ウェス・クレイヴン(Wes Craven)による映画『スクリーム』シリーズや、子ども向け映画『ホーム・アローン』のポスターなど、さまざまなポピュラーカルチャーにも登場しています。ブレグジット、ドナルド・トランプ政権、増税といった時事問題を風刺する無数のカートゥーンをはじめ、政治的なバナーやプラカードにも用いられ、近年では気候危機に抗議するデモにおいても頻繁に見られます。
また近年、「叫び」のイメージは、専用の絵文字として、あるいは無数のミームの元ネタとして、デジタルスクリーン上でも重要な位置を占めています。同時に、ムンクの絶望する人物像をあしらった、あるいはその形を模した土産物やオブジェの数も、計り知れないほど増加しています。要するに、「叫び」は今日、文化のほぼあらゆる層に出没しているのです。
「叫び」は、美術史上もっとも頻繁に複製されてきたイメージのひとつであり、その再生産の規模においては、レオナルド・ダ・ヴィンチ(Leonardo da Vinci)の「モナ・リザ」に並ぶ存在だと言えます。そして、それはアナログとデジタルの両領域において、絶えず拡張し続ける変異のネットワークの起点となっています。本書は、3本のテキストと豊富な図版を通して、ムンク自身による現存するすべての「叫び」のイメージや関連テキスト、そして数え切れないほどの「叫び」の変異体を収録し、この最もよく知られたイメージをひとつの文化現象として捉え直しています。
ページ: 216
サイズ: 170 x 240 mm
フォーマット: ハードカバー
刊行年: 2024
言語: 英語
出版: Munch