Struktur by Nils Olof Bonnier
スウェーデンのアーティスト、ニルス・オロフ・ボニエ(Nils Olof Bonnier、1945–1969)のコンセプチュアル・ブック・アート『ストゥルクトゥール(Struktur、1968年刊行)』の複製版。
ニルス・オロフ・ボニエは、将来を嘱望された若き芸術家でした。主要ギャラリーや近現代美術館「モダーナ・ムーセート」での展示を控えるなど、輝かしい未来を目前にしていた1969年、彼はヘルシンキとストックホルムを結ぶフェリーから忽然と姿を消しました。この失踪は、ヴァランド美術学校によるサンクトペテルブルクへの研修旅行の最中に起こったものでした。失踪から17年後、ボニエは行方不明のまま、法的に死亡と宣告されました。
海で姿を消す前年、当時評価の高いアーティスト・グループ「ビョルンリガン(Björnligan)」の一員であったボニエは、アーティストブック『ストゥルクトゥール(Struktur)』を自費出版しています。本作は、国際的なコンセプチュアル・ブック・アートの最前線に位置づけられる作品でした。ボニエ自身の手によって完全にハンドメイドで制作され、ごく少部数のみが刊行されたこの書籍は、時を経るにつれて、その希少性とともに伝説的な存在となりました。今日では、多くのコレクターが『ストゥルクトゥール』をスウェーデンのアーティストブックにおける「聖杯」と見なしています。
ニルス・オロフ・ボニエの息子であるミカエル・ボニエ(Mikael Bonnier)の協力のもと、この度『Struktur』の忠実な複製版が刊行されました。本書には、トーマス・ミルロート(Thomas Millroth)による論考を収めた第二巻が付属しており、ボニエの生涯と作品を文脈化すると同時に、彼の失踪をめぐる従来の歴史的解釈に再考を促す内容となっています。この論考はスウェーデン語原文と、サミュエル・ティーランド(Samuel Teeland)による英訳の双方で掲載されています。
二冊は手作りのスリップケースに収められ、限定100部のナンバリング入りエディションとして刊行されました。
ニルス・オロフ・ボニエ
スウェーデンのコンセプチュアル・アーティストであり、作家でした。ヨーテボリに生まれ育ち、同地の工芸デザイン学校で学んだ後、コンストファック、ストックホルム王立美術大学に進学し、最終的にヴァランド美術学校で学業を修了しました。在学中には、アーティスト・コレクティブ「ビョルンリガン」に参加しています。
短いながらも強い影響力をもったキャリアの中で、ボニエはヨーテボリの「ギャラリー・AE」やストックホルムの「ギャラリー・ブルー」などで作品を発表し、アーティストブックを刊行しました。また、ヨーテボリの日刊紙に美術批評を寄稿しています。1968年には、緑色に塗装された鋼鉄構造による公共彫刻作品がヨーテボリに設置されました。
1969年5月22日未明、ヴァランド美術学校の学生旅行でレニングラード(現サンクトペテルブルク)を訪れた帰途、フェリー「ビルイェル・ヤール号」からボニエは忽然と姿を消しました。当時24歳でした。この失踪をめぐっては、事故、自殺、あるいは政治的動機による事件など、さまざまな説が取り沙汰されましたが、真相は明らかになっていません。1986年、彼は公式に死亡と宣告されました。
ボニエの作品は、「モダーナ・ムーセート」および「ヨーテボリ美術館」のコレクションに収蔵されています。また、その生涯と失踪は、ヨハン・フォン・シードウ(Johan von Sydow)監督による2012年のドキュメンタリー映画『The Artist Who Disappeared』の主題となったほか、複数のラジオ番組や文化的議論でも取り上げられてきました。
ページ: 208
サイズ: 146 x 216 mm
フォーマット: ソフトカバー、スリップケース
刊行年: 2025
言語: 英語、スウェーデン語
出版: LL’Editions